遺産分割協議書とは

相続人が複数人いる場合、亡くなった方(被相続人)の財産は、相続人全員の共有となります。
この場合、被相続人が遺言書を残していなかったときは、法定相続人の話し合い(協議)によってその財産をどのように相続するかを決定します。

この話し合いのことを、一般に「遺産分割協議」といいます。

参考
第907条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
出典:民法

そして、遺産分割協議が成立した場合、その話し合いの内容を記載した書面を「遺産分割協議書」といいます。

ただし、法律的には、遺産分割協議書を作成することは必要不可欠なものではありません。もっとも、相続手続の実務上は、不動産の登記手続や預貯金の解約、自動車の名義変更等、相続手続全般において遺産分割協議書(印鑑証明書付)の提出を求められますので、遺産分割協議が成立した場合には、必ず遺産分割協議書を作成しなければならないといってよいでしょう。

なお、平成30年の民法改正により、遺産分割による場合に限らず、法定相続分を超えて遺産を相続した場合には、その旨の登記等をしない限り、その遺産分割協議の内容を当事者である相続人以外の第三者に主張(対抗)することができないこととされました。したがって、遺産分割協議によって法定相続分と異なる形で相続することとなったにもかかわらず長期間登記等をしないでいると、第三者との関係において思わぬトラブルが生ずることがありますのでご注意ください。

参考
民法899条の2 
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
出典:民法

遺産分割協議が必要となるケース

  • 土地や建物の名義変更登記(相続登記)
  • 預貯金の解約や名義変更
  • 株式などの有価証券の名義変更
  • 自動車などの登録動産の名義変更
  • 相続税の申告

遺産分割協議書が不要なケース

  • 法定相続分どおりに相続する場合
  • 調停や審判により遺産分割がなされた場合
  • 遺言書があり、遺言書どおりに相続する場合
  • 法定相続人が一人しかいない場合
  • 遺産分割協議の対象になるような財産がない場合

法律上の決まりはないものの、実務上、下記のような注意点があります。

これらの注意点を守らないと、その協議書は相続の手続には使用できない可能性があります。

遺産分割協議書作成上の注意点

実際に遺産分割協議書を作成する場合、どのような点に注意すべきかについてご紹介していきます。

誰の遺産の分割協議書なのか明らかにすること

当然のことながら、被相続人が誰なのか、つまり、誰の遺産を分割するのか、この一番基本的なことを明記します。被相続人を特定することができないのでは、遺産分割協議書としては使用できません。

具体的には、被相続人の氏名、住所、本籍地、生年月日、死亡日を戸籍謄本や除籍謄本を参考にして、正確に記載するようにしてください。

参考:遺産分割協議書上の被相続人の記載例

被相続人  〇〇太郎
最後の本籍 東京都〇〇区〇〇1丁目2番
最後の住所 埼玉県東松山市箭弓町3丁目5番8号
出生 昭和〇年×月△日
死亡 令和〇年×月〇日

法定相続人全員が参加すること

遺産分割協議は法定相続人の全員の合意で行わなければ無効となってしまいます。

相続人は私達だけしかいない」といった思い込みは禁物です。

具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得し、法定相続人の確認(調査)を怠らないようにしましょう。 

法定相続人全員が署名押印すること

後々のトラブルを防ぐために遺産分割協議書を作成する以上、必ず相続人全員が自筆で署名し、実印で押印してください。

法律上は実印の押印は要件ではありませんが、実務上は、実印を押印し、法定相続人全員の印鑑証明書を添付しないと不動産の相続登記や預貯金の解約などの手続は受理されません。

なお、不動産の名義変更について、登記の実務上は、遺産分割によって不動産を取得する相続人の印鑑証明書の提供は不要とされていますから(登記研究141)、相続人全員が実印を押印する必要はない場合もありますが、預貯金の解約等の手続ではこのような扱いは認められないことや、後日の紛争を避ける意味でも、実印を押印すべきと考えます。

財産の表示は正確に記載すること

たとえば、不動産の場合、「自宅」などと抽象的な記載をしたり「東松山市の土地」などと省略した記載をせず、法務局の登記簿に記載されているとおり正確に記載してください。

金融機関の口座であれば、金融機関名、支店名、種別、口座番号などを記載します。

参考:遺産分割協議書上の不動産の記載例

不動産の表示

  1. 所  在  埼玉県東松山市箭弓町三丁目
    地  番  1番2
    地  目  宅地
    地  積  100.12㎡
  2. 所  在  埼玉県東松山市箭弓町三丁目1番地2
    家屋番号  1番2
    種  類  居宅
    構  造  木造かわらぶき2階建
    床 面 積  1階 50.05㎡   2階 45.23㎡

 

参考:遺産分割協議書上の預貯金の記載例

預貯金の表示

  1. 預金先金融機関 〇〇銀行 〇×支店
    預金の種類 普通預金
    口座番号 1234567

複数枚にまたがる場合は契印すること

遺産分割協議書の用紙が複数枚にまたがる場合、一般的には、左端をホチキス等で綴じ、各ページの継ぎ目になる部分に相続人全員の実印で契印(割り印)しておきます。

この契印を押印することで、1枚目と2枚目の用紙がつながっている文書であることや、途中の用紙を抜いてしまっていないこと、逆に余計な用紙を間に挟み込んでしまっていないことの証明になります。


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