特別受益の対象となるか否かが問題となる贈与
「特別受益」とは、共同相続人の一部の者が、贈与や遺贈によって被相続人から受け取った利益のことをいい、財産を受け取った相続人のことを「特別受益者」といいます。
相続人の一人が生前贈与を受けており、その生前贈与が特別受益として扱われた場合、その贈与された財産の金額を実際に残っている遺産(相続財産)に計算上加算し、その額を相続財産とみなして各相続人の相続分を算出することになります。
金銭や不動産の贈与など、一般の贈与や遺贈でれば特別受益に該当するか否かが問題となるケースは少ないでしょうが、次のようなものについては、特別受益の対象となるか否かが問題となります。
大学進学費用などの教育費用
大学進学費用などの学費は、「扶養の範囲を超えた贈与」であった場合、特別受益と認められることがあります。例えば、一般家庭において子3人のうち、2人は最終学歴が公立高校卒業であったが、3人のうち1人だけ、私立大学の医学部を卒業し、卒業までの学費全額を被相続人が支払っていたといったケースでは、その子の大学進学の費用が特別受益の対象となる可能性は高いでしょう。ただし、学費などの教育費用が特別受益にあたるか否かは、その金額の多寡や親の資力や社会的地位、その他の事情を考慮した上で総合的に判断されるものとされていますから、相続人の一部の方だけが大学に進学すれば必ず特別受益に該当する、ということではありません。
生命保険金
共同相続人のうち、一人だけが保険契約上の受取人として生命保険金を受け取った場合でも、受け取った生命保険金は、原則として特別受益には該当しません。ただし、保険金の額、相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態からして、生命保険金を特別受益としないと著しい不公平が生じるといった場合は特別受益になる可能性もあります。判例では、こうした事情も考慮して特別受益に該当するか否かの判断がなされ、一律の扱いではありません。
死亡退職金
退職金とは、勤め先を退職した場合に勤め先から支給される金銭のことをいいますが、働いている方が在職中に亡くなった場合に支払われるものを特に「死亡退職金」といいます。死亡退職金を受け取ることについては、裁判等における判断が分かれています。家庭裁判所の裁例では、原則として特別受益と同様に扱うとされる一方、死亡退職金の金額と遺産全体の金額のバランス、死亡退職金を受け取った相続人の被相続人に対する貢献の度合い、死亡退職金の金額を差し引いて相続分を差し引いた場合に死亡退職金を受け取った者の生活の保障が図れなくなる、といった事情がある場合には、特別受益と同様には扱わないとしているものもありあます。
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