不動産を数人の相続人が相続することになったが、その不動産自体を相続人が利用するのではなく、売却をして金銭を法定相続人間で分配することがあります。このような場合に行われる方法の一つに「換価分割」と呼ばれる方法があります。 

例えば、50坪の宅地を法定相続人5人のために、予め5筆に分筆した上で各土地を5人それぞれが単独所有とするような遺産分割(現物分割)をしてしまうと、各相続人が取得する土地が10坪に細分化されてしまう結果、分筆後の土地の価値が分筆する前の土地の価値と比べ著しく減少してしまうことがあります。

このように、換価分割は、不動産など現物を分割することが難しい場合や、現物を分割してしまうと著しく価値を損なってしまう場合などに利用されます。

そこで今回は、不動産の換価分割について紹介します。

不動産を売却する前に必要なこと

遺産分割の対象となる不動産を換価分割するということは、その不動産を売却することが前提となるわけですが、売却をする場合、亡くなった方の名義のままで買受人に所有権を移転する登記をすることはできません。

登記の手続上、これからすぐに売ってしまう不動産であっても、一旦は相続人名義にしておく登記(相続登記)をする必要があります。

このとき、売った後に残る金銭を分配する割合が決まっているのであれば、初めからその割合で遺産分割協議をし、その協議の内容に従って名義変更(相続登記)をしておけば、後々お金の分け方でトラブルになったり、税金の点などで問題が生じたりする可能性も低くなります。ただ、複数の相続人の名義にすることで、売却手続を全員で進める必要が生ずるなど、面倒な点が生ずることも多々あります。

換価分割の方法

上述のとおり、遺産分割の対象となる不動産を売却する場合に、複数の相続人の共同名義とする方法では、売却手続を思うように進めることが難しい場合もあります。

そこで、遺産分割協議において代表者を定め、売却する不動産をその代表者一人の名義しておく方法があります。この方法は、相続人が複数ある場合でも代表者が1人で手続を進められることから、例えば相続人の中に高齢の方や遠方にお住いの方があるケースでは恩恵が受けやすい方法といえます。

一方で、思うように売却が進まない場合など、換価分割が完結しないと、いつまでもその方が当該不動産の所有者として、対外的な義務(固定資産税の納税や管理)を負う必要が生ずる点に注意が必要です。また、長期間売却ができなかった場合などでは、その後に売却が決まった際に支払う代償金が、税務上、贈与ではないかと扱われてしまう可能性も否定できません。

なお、不動産を換価分割のために相続人のうちの1人の名義とし、その後、売却代金を相続人間で分配した場合、その分配金に対して贈与税が課税されるかといった点について、調停による換価分割に関するものではありますが、国税庁より下記のような見解が示されています。

【照会要旨】
遺産分割の調停により換価分割をすることになりました。ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとしました。この場合、贈与税の課税が問題になりますか。
【回答要旨】
共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。
出典:国税庁HP

不動産を換価分割する場合の遺産分割協議書の記載例

上記のとおり、税務上の取り扱いとして、換価分割であることを明確に示すことができれば、換価の結果得られた金銭の分配については贈与税の課税が問題となることはありません。

換価分割による遺産分割をした場合、遺産分割協議書には下記のような表記をしておくとともに、万一、換価分割後に税務当局から贈与についての指摘を受けるようなことがあったときに、理解を得られるようにしておくべきでしょう。

参考:不動産を換価分割する場合の遺産分割協議書の記載例 


遺産分割協議書

中略
第○条 被相続人が所有する下記不動産は、換価分割を目的として、相続人Aが単独で取得する。

2 相続人Aは、本遺産分割協議が成立した時から○ヶ月以内を目途に、下記不動産を換価分割する目的で売却し、その売却代金から売却に要する費用(仲介手数料、契約書作成費用、登記費用、測量費用、残置物撤去費用が必要な場合はそれらの費用、その他売却に必要な一切の費用)を控除した残金につき、法定相続分に従った割合で分配する。

3 換価売却までに要する下記不動産の修繕費、固定資産税等の公租公課等は、共同相続人全員が法定相続分の割合で負担し、換価売却による譲渡所得税等の租税についても同割合で各自の負担とする。

不動産の表示 (省略)

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