遺言には、厳格な要件が定められており、要件を欠く遺言書は法律上効力を生じないものとなってしまいます。そのため、遺言書を作成するには、最低限押さえておかなければならないポイントや法律の知識が必要となります。
もっとも、専門家の助言や支援を得て作成すれば、決して難しいものではありません。
また、一度遺言書を作成した場合でも、後に事情が変わればその遺言書を破棄したり、変更することも可能です。
下記に該当する方には、特に遺言書の作成をおすすめします。
是非一度、当事務所までご相談下さい。
遺言書を作成すべき方
法定相続分とは異なる相続分の指定をしたい方
法定相続分とは異なる相続分を指定することにより、配偶者への相続分をより多く確保したり、子の経済状態などに応じた遺産の分配をすることができます。遺言書によって指定相続分を定めておかなければ、民法で定める法定相続分に従って相続をするか、法定相続人全員の合意による遺産分割によって相続をしなければなりません。
夫婦間に子供がいない方
夫婦間に子供がおらず、かつ、兄弟姉妹が法定相続人に該当する場合、1/4の割合で兄弟姉妹に遺産が相続されてしまいます。この遺言で全ての遺産を配偶者に相続させるものとしておけば、兄弟姉妹には遺留分がないため、100%配偶者に相続させることができます。もし、遺言を作成せず、兄弟に相続権が発生してしまうと、配偶者が全財産を相続するためには、兄弟姉妹にその旨の遺産分割協議に同意をしていただかなければなりません。
農業経営者や会社経営者の方
農業経営者の方の保有する農地や会社経営者の方の保有する会社株式などは、もし、法定相続分どおりに相続されてしまいますと、それぞれの相続人へと細分化されてしまい、農業や会社の安定経営の妨げになりかねません。相続分や遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止をすることにより、このような状況を回避し、後継者となる相続人に引き継ぐことができます。
お世話になった方や団体に財産を譲りたい方
病気の時に看病してくれた人や、長年身の周りの世話をしてくれた息子のお嫁さんなど、身近にお世話になった人がいて、生前のお礼にと財産を分けたい場合でも、相続人でない限りは自動的に財産が分け与えられるわけではありません。特別に寄与した親族については特別寄与の制度がありますが、これも金額としてはわずかなものしか認められない可能性があります。感謝の気持ちや思いを形にしてあげたいのであれば、遺言によって贈与(遺贈)することが可能です。
内縁の妻(夫)に財産を譲りたい方
たとえ長年生活を共にしていようとも、現在の日本の法律では、婚姻をしない限りは配偶者として相続権を取得することはありません。このような内縁関係にある方や事実婚のパートナーに財産を贈りたい場合、遺言によって贈与(遺贈)することが可能です。
相続を巡り、家族に争いを生じさせたくない方
相続人となるべき者が当初より不仲の場合はもちろん、これまで特に親族間で喧嘩をするようなことがなかった場合でも、実際に誰がどの遺産を相続するかという遺産分割手続を巡っては、もめてしまうことが多々あります。トラブルが予想される場合に限らず、予め遺言書によって遺産分割方法の指定をすれば、このような事態を回避することができます。
相続人の中に連絡が取れない方がいる方
遺言書を作成していない場合、遺産分割協議や各種手続を行う際に相続人全員の関与(協力)が必要となります。もし、相続人の中に行方が不明であったり親交が途絶えてしまい、どうしても連絡が取れない相続人がいる場合、そのままでは預金の解約や不動産の名義変更などの相続手続はできません。遺言書を作成しておけば、このようなケースでも指定された相続人等に財産を引き継ぐことが可能となります。