法定相続分とは異なる割合で不動産を相続したら

遺言によって遺贈、相続分の指定、遺産分割方法の指定がなされ、相続人が法定相続分とは異なる割合によって財産を相続することがあります。

もともと、民法では、このような場合に第三者との関係においてどのような扱いとなるかを定めていませんでした。

ただし、判例によって、遺言による遺贈、相続分指定、遺産分割方法の指定がなされた場合、遺贈については登記がなければその権利取得を第三者に対抗することができないものとし(最判昭39.3.6)、他方、相続分の指定による不動産の取得については、登記をせずとも第三者に対抗することができるものとしていました(最判平14.6.10)。

しかし、このような判例理論によると、そうした遺言による相続分の指定や遺産分割方法の指定を受けた相続人が、いつまでも登記をしないでいながら、そのことを知らない第三者に対してまで権利を主張することができることとなり、第三者に対して不測の損害を与えるといった問題がありました。

そこで、平成30年の民法改正により、法定相続分を超えて承継した部分については、登記等の対抗要件を備えなければ、そのことを第三者に対抗することができないと規定されました。

この改正により、被相続人の遺言や共同相続人間の遺産分割により法定相続分を超える不動産を相続することとなった相続人は、登記をしなければそのことを第三者に対して主張することができなくなったことに注意してください。

令和6年4月1日より相続登記の義務化がスタートしますが、今回ご紹介した民法改正からも、相続によって不動産を取得したときは、なるべく速やかに相続登記を行うべきでしょう。

1 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

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