相続人のない方の財産はどこへ
相続が開始したにもかかわらず、その方に配偶者や子、兄弟姉妹等民法の定める相続人がいない場合（相続人不存在）において、特に遺言などで財産の帰属を定めていなかったときは、その方の財産はどのように扱われることになるのでしょうか。
相続人が不存在であるからといって、相続人ではない親類や友人などが財産を処分できるわけではありません。
相続が開始し相続人も遺言もない場合、最終的にその方の財産は国庫に帰属します。
最高裁判所の発表によれば、2021年度に国庫に帰属した財産の額は640億円以上にものぼるそうです。
相続財産が国庫に帰属するまでには、以下のような流れで手続が行われます。
- 相続財産清算人が選任される
債権者、特別縁故者などの利害関係人の申立により、家庭裁判所が相続財産を管理する「相続財産清算人」を選任します。通常は、申立て後、２か月から３か月程度で相続財産清算人が選任されます。 - 債権者や受遺者に対する弁済・支払いが行われる
相続財産清算人が選任されると、債権者や受遺者があれば申出るよう官報に公告がなされます（2か月以上）。そして、債権者や受遺者からの申出があれば公告期間が満了の後、債権者や受遺者に弁済等がなされます。 - 家庭裁判所による相続人の捜索
家庭裁判所は相続財産清算人が選任されたことや相続人がいれば申出るよう６か月以上の期間を定め官報に公告をします（相続人捜索）。これによって相続人が見つからない場合、相続人が不存在であることが法的に確定します。 - 特別縁故者への遺産の分与
相続人不存在が確定すると、被相続人の生前、一緒に暮らしたり身の回りの世話したりなどといった縁故のある方（特別縁故者）から、相続財産の分与の審判の申立てが可能となります。特別縁故者からの申立ては相続人捜索の公告期間満了後3か月以内にしなければなりません。その結果、家庭裁判所に特別縁故であると認定されれば、相当な額が分与されます。 - 相続財産は国庫へ帰属
上記の手続を経てもなお財産が残る場合、それらの財産は国庫に帰属することになります。
もし、貴方に相続人がなく、国庫への遺産の帰属を望まない場合、「遺贈寄付」をすることで、社会貢献や公益のために遺産を譲渡することができます。該当する方は是非ご検討ください。
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