農地の相続と農地法の許可の要否

農地(田や畑)は他の種類の土地(宅地や雑種地など)とは異なり、勝手に譲渡したり賃貸したりすることはできません。

農地について所有権を移転したり、賃借権等の権利を設定するには、原則として農地法所定の許可を得なければならないものとされており、この農地法所定の許可は契約の効力発生要件となりますから、登記申請の際には当該許可が得られている旨の許可書(または届出書)を添付しなければ登記申請も受理されません。

しかし、相続によって農地を取得した場合には、農地法所定の許可は不要であり、登記の際の添付書類としても必要はありません。

相続は亡くなった方の包括承継であり、売買などの契約によって行われる法律行為とは異なるからです。

このことは、農地の相続が遺言で行われる場合や法定相続分どおりに相続される場合はもちろん、遺産分割協議によって特定の相続人が相続する場合でも異なりません。

ただし、いったん相続登記を行った後に他の相続人に名義を変更する(例えば贈与や売買など)場合、もともとは許可の不要な相続人の1人であったとしても、許可が必要となりますのでご注意ください。また、遺言によって相続人の一部の方に「特定遺贈」として農地を遺贈する場合にも、農地法所定の許可が必要となります。

なお、農地を相続によって取得した場合、原則として農地を取得したことを知った日から10か月以内に農業委員会に届出をしなければなりませんので、ご注意ください。

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第3条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
以下省略
(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)
第3条の3 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
(農地の転用の制限)
第4条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
以下省略
(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)
第5条 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
以下省略

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