家庭裁判所の相続放棄申述受理通知書で相続登記が可能か

家庭裁判所に相続放棄の申述が認められると、家庭裁判所からご本人(申述人)に対し、「相続放棄申述受理通知書」(長いので以下、「通知書」とします)なる書類が送られてきます。この通知書は、文字どおり家庭裁判所が申述人に対して相続放棄の申述が受理されたことを知らせる通知であって、第三者に対してその効果を証明するものではありません。

相続放棄が受理されたことを対外的に証明してくれるのは「相続放棄申述受理証明書」(長いので以下、「証明書」とします。)という別の書類です。

証明書は、例えば故人に借金があり、債権者から法定相続人にその返済を求める督促があったようなケースで放棄後に債権者に提出をするなどして相続放棄の証明のために使用されます。また、被相続人所有の不動産の相続登記をする場合において、相続人の中に相続放棄をした方がある場合、その方が相続放棄をして相続人ではなくなったことを証明するために、証明書を添付することになります。

通知書は相続放棄が受理されれば、自動的に家庭裁判所が本人に送ってくれるものなのですが、証明書は別途1枚当たり150円の手数料を払って申請をしないと発行してもらうことができません。相続放棄の申述手続後、時間が経ってしまってから改めて証明書を発行してもらおうとすると、戸籍などの書類も提出しなければならず、面倒なこともあります。

そこで、証明書に代わり通知書を提出することでもって、相続登記の添付書類とすることができないかが問題となります。

この点については、以前の登記実務ではあくまで証明書の添付が必要であり、通知書をもってこれに代えるような扱いは認められていませんでした。

ところが、現在はこの扱いが変更され、相続放棄申述受理通知書でも、相続登記の添付書類とすることができるようになっています。

ただし、通知書であればなんでもOK、という訳ではなく、一定の条件があり、相続の放棄があったことを証する情報として、「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」又は「家庭裁判所からの相続放棄申述受理通知書」が添付されているときは、その内容が相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載されているものと認められるものであれば、これらを登記原因を証する情報の一部として提供することができる(登研808号)ものとされています。

この考え方による限り、通知書に相続放棄の事件番号、申述人氏名、被相続人の氏名・本籍・死亡した年月日、申述が受理された日などが漏れなく記載されいてれば、証明書ではなくとも相続登記の添付書類として用いることが可能であるといえるでしょう。

お問い合わせ・ご相談

電話でのお問い合わせ

面談でのご相談は事前予約制となります。土日夜間のご予約も可能です。
電話受付時間 平日 9時 ~ 17時 まで
受付時間外はメールでお問合せください。

TEL : 0493-59-8590

スマホからはタップで電話がかかります。

メールでのお問い合わせ



    当事務所のご案内

    事務所所在地

    〒355-0028
    埼玉県東松山市箭弓町3丁目5番8号
    電話:0493-59-8590

    東武東上線 東松山駅西口より 徒歩2分
    関越自動車道 東松山ICより 車3分

    東松山駅西口のロータリー先に見えるローソンのある交差点を右折して100mほど進んだ左側です。

    事務所前に駐車スペースがございます。
    大型車は近隣のコインパーキングをご利用ください。

    アクセスマップ